コラム
2026.05.26
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2026.05.26
相続が発生すると、申告や納税の手続きが必要になりますが、「時効まで待てば払わなくていい?」と考える方もいるかもしれません。
結論から言うと、それは非常に危険な発想です。相続税には確かに時効(除斥期間)がありますが、税務署はその前に申告漏れを把握する情報網を持っています。
この記事では、相続税の時効の仕組みと、申告漏れがバレる理由、そしてペナルティの内容まで詳しく解説します。
目次
相続税にも、他の税金と同様に「時効」が存在します。正確には「除斥期間」と呼ばれます。
除斥期間とは、税務署が相続税を課税できる期間のことです。この期間を過ぎると、税務署は原則として追加の税金を請求できなくなります。
民法上の「時効」とは厳密には異なりますが、一般的に「相続税の時効」と呼ばれることが多いため、本記事でもこの表現を使っていきます。
相続税の除斥期間は、申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)の翌日から起算して5年です。
たとえば、2023年1月1日に被相続人が亡くなり、翌日(1月2日)に相続開始を知ったとします。この場合、申告期限は2023年11月2日となります。5年の除斥期間は、申告期限の翌日である2023年11月3日から数えますので、2028年11月2日が時効の到達日です。
この5年間の間に税務署が何も動かなければ、原則として課税できなくなります。
ただし、故意に相続財産を隠蔽したり、不正な申告をしたりした場合など、悪質な行為があると認定された場合は、除斥期間が7年に延長されます(国税通則法第70条)。
「バレないだろう」と思って意図的に財産を隠しても、7年間は税務署の追及を受け続けることになります。
民法上の時効と異なり、国税の除斥期間は「中断」しません。税務調査が入っても、更正処分が行われても、除斥期間のカウントは止まりません。ただし、「更正の請求」などの手続きによって期間が変わるケースもあるため、具体的な状況は税理士に確認することをお勧めします。
「5年か7年さえ過ぎれば大丈夫」と考える方もいますが、実際には時効を迎えるよりもずっと前に発覚するケースがほとんどです。
税務署は、相続人が思っている以上に幅広い情報を収集しています。
・金融機関からの支払調書:生命保険の死亡保険金、退職金など、100万円を超える支払いは保険会社・会社から税務署へ報告が入ります
・登記情報との照合:不動産の名義変更(相続登記)があれば、法務局から税務署へ通知されます
・預金口座の調査権限:国税当局は金融機関の口座情報を一括して照会できる「金融機関一括照会」の権限を持っています
つまり、「タンス預金なら大丈夫」「名義を子どもにしておけばバレない」という甘い考えは、ほぼ通用しません。
特に名義預金(親が子どもの名前で作った口座など)は、税務調査で最も指摘されやすい項目の一つです。
税務署は相続税の申告後、定期的に税務調査を実施しています。国税庁の統計によれば、相続税の申告件数に対して実地調査が行われる割合はおよそ10件に1件(10%前後)とされており、これは税目の中でもかなり高い水準です。
調査の対象は、申告内容に不審な点がある案件や、遺産の規模が大きい案件が中心ですが、自己申告(税理士を使わない申告)の場合も調査が入りやすいと言われています。
もし申告漏れに気づいたなら、時効を待つのではなく、できるだけ早く自主的に申告すべきです。理由は明確です。
税務署に「指摘される前」に自主的に申告(修正申告・期限後申告)すれば、加算税が軽減されるケースがあります。一方で、税務調査が始まってからの申告や、税務署から更正処分を受けた場合は加算税の割合が高くなります。気づいた時点で早めに動くことが、最終的な税負担を抑えることにつながります。
相続税は、相続人全員が連帯してその義務を負う「連帯納付義務」があります。
一人が申告漏れや未納状態にあると、他の相続人にも連帯して納付を求められる可能性があります。兄弟間や親族間の信頼関係を損なう原因になりかねません。
相続税を滞納した場合、最終的には財産の差し押さえが行われます。差し押さえの対象は、預金口座、給与、不動産など多岐にわたります。差し押さえを受けた財産は公売にかけられることもあり、市場価格より低い金額で売却されてしまうことも。
早めに申告・納付することが、こうしたリスクを回避する最善策です。
申告期限を過ぎると、本来の税額に加えて「延滞税」が発生します。延滞税は、未納が続く限り毎日積み上がっていきます。
延滞税の税率は経済情勢に応じて毎年改定されており、低金利環境でも決して無視できない水準です。正確な現在の税率は、国税庁ホームページでご確認ください。時間が経つほど延滞税の総額は膨らみます。放置することは支払いを増やすことにしかなりません。
相続税の申告は、財産の評価方法や特例の適用など、専門知識が必要な場面が多く、一般の方が正確に行うのは非常に難しい手続きです。
税理士法人EELコンサルティングは、渋谷区に拠点を置く税理士法人です。相続税申告に特化した豊富な実績と専門性を持ち、「正確な申告」と「適正な節税」を徹底的にサポートします。
当法人が大切にしていること:
・財産の見落としゼロを目指す丁寧なヒアリング:土地・預金・株式・保険など、すべての財産を漏れなく把握します
・節税特例の最大活用:配偶者控除、小規模宅地等の特例など、適用できる制度を適切に活用します
・申告期限内の確実な対応:相続開始から10ヶ月という期限内に、確実に申告を完了します
「申告漏れがあったかもしれない」「これから相続が発生しそうで不安」という方も、まずはご相談ください。初回相談は無料で対応しています。
申告期限を過ぎたり、申告内容に誤りがあったりすると、本税に加えてさまざまなペナルティが課されます。
申告はしたものの、申告した税額が本来の税額より少なかった場合に課される加算税です。税務調査の結果、追加で課税される場合は、追加税額に対して一定割合の過少申告加算税がかかります。ただし、税務調査が入る前に自主的に修正申告をした場合は、この加算税は原則として課されません。
税率は追加税額の規模によって変動します。正確な現在の税率は国税庁ホームページまたは税理士にご確認ください。
申告期限までに申告をしなかった場合に課される加算税です。過少申告加算税よりも税率が高く設定されています。こちらも、税務調査が入る前に自主的に申告(期限後申告)をした場合は、税率が軽減される制度があります。
税率は税額の規模や状況によって異なるため、詳細は国税庁ホームページまたは税理士にご確認ください。
財産を意図的に隠したり、偽りの申告をしたりした場合に課される、最も重いペナルティです。重加算税が課される場合、除斥期間も5年から7年に延長されます。また、悪質性が高いと認められた場合は刑事罰に発展する可能性もあります。
重加算税に該当するかどうかの判断は複雑であり、少しでも該当する可能性があると感じたら、すぐに税理士に相談してください。
申告期限を過ぎて納税した場合、または追加で税金が課された場合に、利息に相当するペナルティとして発生します。延滞税の税率は年によって異なり、金利環境に応じて変動します。申告期限から2ヶ月以内と、それ以降で税率が変わる仕組みになっています。
正確な現在の税率は、国税庁ホームページをご確認ください。
意図的な脱税(相続財産の隠蔽・偽装)が認められた場合、「相続税法違反」として刑事罰の対象となります。脱税額に応じて、懲役や罰金が科される場合があります。「バレないだろう」という甘い見通しで行動することは、自分自身と家族を深刻なリスクにさらすことになります。
税務署はすべての申告を調査するわけではありませんが、特定のパターンに当てはまる案件は調査対象になりやすい傾向があります。
税理士を使わずに自己申告をした場合、申告書の記載誤りや財産評価の誤りが生じやすく、税務署のチェックが入りやすいと言われています。特に土地の評価(路線価や倍率方式の適用)、非上場株式の評価などは、専門知識がないと正確な評価が難しい項目です。
海外の預金口座、不動産、有価証券などは申告漏れが起きやすい財産です。税務署は国外財産の把握にも力を入れており、CRS(共通報告基準)という国際的な情報交換の枠組みにより、多くの国の金融機関からの口座情報が日本の税務当局に提供されています。
「海外なら分からないだろう」という考えは通用しなくなっています。
遺産の総額が大きいほど、税務調査の対象になる可能性が高まります。課税価格が2億円を超えるような案件は、調査が入る確率が統計的にも高いとされています。また、申告書上の財産評価額と実際の市場価値に大きな差がある場合も、税務署の目に留まりやすくなります。
贈与税の除斥期間は、申告期限(贈与を受けた年の翌年3月15日)の翌日から6年です。ただし、故意に申告しなかったなど悪質な場合は7年に延長されます。
なお、相続開始前3年以内(2024年以降の贈与については段階的に7年まで延長)に行われた生前贈与は、相続財産に加算されるルールがあります。
贈与の時効を待つという考え方は極めて危険であり、相続税との関係でも決して選択するべきではありません。
税務調査の対象期間は、除斥期間の5年(または7年)が基本ですが、実務上は預金口座の取引履歴などを通じてさらに過去にさかのぼって調査が行われるケースがあります。多くの金融機関では口座の取引履歴を10年分保存しているため、相続税の税務調査で10年前までさかのぼって調べられるケースもあります。
相続税の税務調査は、一般的に申告期限から1〜2年後に行われることが多いとされています。時期的には、7月〜11月ごろに実地調査が集中する傾向があります(税務署の事務年度が7月始まりのため)。
結論から言えば、ほぼ確実にバレます。
タンス預金については、被相続人の収入・支出履歴と財産残高の整合性を税務署がチェックするため、説明できないお金が残っていると指摘されます。
名義預金(子どもや配偶者の名義で管理していた預金)は、税務調査で最も多く指摘される項目の一つです。「誰が管理していたか」「通帳・印鑑を誰が持っていたか」などを総合的に判断され、実質的に被相続人の財産とみなされます。
相続税の時効(除斥期間)は5年、悪質な場合は7年です。しかし、現実には時効を迎えるよりずっと前に、税務署の調査によって申告漏れが発覚するケースがほとんどです。
タンス預金も名義預金も、税務調査では必ずチェックされます。海外資産も、国際的な情報交換によって把握される時代です。「時効まで待てばいい」という発想は、現在の税務行政の実態に合っていません。
もし申告漏れに気づいたなら、早急に税理士に相談し、自主的に申告することを強くお勧めします。自主申告であれば加算税が軽減されるケースもあり、放置するよりも最終的な負担を減らせる可能性があります。
相続税の申告や、申告漏れの修正申告についてお悩みの方は、ぜひ税理士法人EELコンサルティングにお気軽にご相談ください。